画竜点睛

「張僧繇(ちょうそうよう)は、呉中の人なり。」
→張僧繇は、呉中の人である。

「武帝仏寺を崇飾するに、多く僧繇に命じて之に画(ゑが)かしむ。」
→武帝は仏寺を立派に飾り、多くを僧繇に命じてこれに絵を描かせていた。

「金陵の安楽寺の四白竜は、眼睛を点ぜず。」
→金陵の安楽寺の四匹の白竜には、瞳を描かないでいた。

「毎(つね)に云(い)う、睛(ひとみ)を点ぜば即(すなわ)ち飛び去らん。」と。」
→常に言うことには、「瞳を描くならば、ただちに飛び去ってしまうだろう。」と。

「人以(もつ)て妄誕(もうたん)と為(な)し、固(かた)く之を点ぜんことを請(こ)ふ。」
→人々は、でたらめだと思い、強くこれを描くことを求めた。

「須臾(しゅゆ)にして雷電壁を破り、両竜雲に乗り、騰去して天に上る。」
→たちまち雷が壁を破り、ニ匹の竜は雲に乗って、躍り上がって天に昇った。

「二竜の未だ眼を点ぜざる者は、見在(げんざい)す。」
→ニ匹の竜でまだ瞳を描いていないものは、現在もある。

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  • 最終更新: 2025/02/08 11:25
  • by seiya