「蘇代(そだい) 易水を過ぐ。」
→蘇代が易水を通り過ぎてきた。
「蚌(ぼう) 方(まさ)に出(い)でて曝(さら)す。」
→蚌が水面に出て日向ぼっこしていた。
「而(しか)して鷸(いつ)其(そ)の肉を啄(つい)ばむ。」
→そして鷸がその肉をついばんで食べようとした。
「蚌合して其の喙(くちばし)を箝(はさ)む。」
→蚌は貝殻を合わせて、その鷸のくちばしを挟んた。
「鷸曰く、「今日雨ふらず、明日雨ふらずんば、即(すなわ)ち死蚌有らん」と。」
→鷸が言うには、「今日も雨が降らずに、明日も雨が降らなければすぐに干乾び死んだ蚌となるだろう」と。
「蚌も亦(ま)た鷸に謂(い)ひて曰はく、「今日出でず、明日出でずんば、即ち死鷸有らん』と。」
→蚌が鷸に向かって言うには、「今日、くちばしを出せず、明日もくちばしを出せなければすぐに死んだ鷸となるだろう』と。
「両者、相(あ)い 舎(す)つるを肯(がえ)んぜず。」
→両者ともお互いを離すことを承諾しなかった。
「漁者得て 之を幷(あわ)せ擒(とら)ふ。」
→そのとき漁師が来て蚌と鷸の両方を捕らえた。