漢文:塞翁馬

差分

このページの2つのバージョン間の差分を表示します。

この比較画面へのリンク

両方とも前のリビジョン 前のリビジョン
漢文:塞翁馬 [2025/02/08 22:30] – 削除 - 外部編集 (不明な日付) 127.0.0.1漢文:塞翁馬 [2025/02/08 22:30] (現在) – ↷ 塞翁馬 から 漢文:塞翁馬 へページを移動しました。 seiya
行 1: 行 1:
 +{{tag>国語 漢文}}
 +# 塞翁馬
 +
 +## 書き下し文・現代語訳
 +
 +「塞上に近きの人に、術を善くする者有り。」
 +→とりでの近くに住む人で、占いなどの術が上手な人がいた。
 +
 +「馬故(ゆえ)無くして亡(に)げて胡(こ)に入る。」
 +→馬が理由なく逃げて、胡の国に入っていった。
 +
 +「人皆之を弔す。」
 +→人々はこのことを慰めた。
 +
 +「其の父(ほ)曰わく、「此(こ)れ何ぞ福と為(な)らざらんや」と。」
 +→その老人が言うことには、「これがどうして幸福とならないだろうか、いや幸福になる。」
 +
 +「居(お)ること数月、其の馬胡の駿馬を将(ひき)いて帰る。」
 +→数か月が経って、その馬は胡の足の速い馬を連れて帰ってきた。
 +
 +「人皆之を賀す。」
 +→人々はそのことを祝福した。
 +
 +「其の父曰わく、「此れ何ぞ禍と為る能(あた)わざらんや」と。」
 +→その老人が言うことには、「このことがどうして不幸とならないだろうか、いや不幸となる。」
 +
 +「家良馬に富む。」
 +→その家では良い馬が増えた。
 +
 +「其の子騎を好み、堕(お)ちて其の髀を折る。」
 +→その息子は乗馬を好み、ある時落馬して大腿骨を折った。
 +
 +「人皆之を弔す。」
 +→人々はこのことを慰めた。
 +
 +
 +「其の父曰わく、「此れ何ぞ福と為らざらんや。」」
 +→その老人が言うことには、「このことがどうして幸福とならないだろうか、いや幸福になる。」
 +
 +
 +「居ること一年、胡人大いに塞に入る。」
 +→一年が経ち、胡の国の人がたくさん砦に入ってきた。
 +
 +「丁壮なる者、弦を引きて戦い、塞に近きの人、死する者十に九。」
 +→働き盛りの男たちは弓を引いて戦ったが、砦の近くに住む人で、死者は十人中九人であった。
 +
 +「此れ独り跛(は)の故を以て、父子相保てり。」
 +→この老人の息子だけは片足が不自由なことが理由で、父子ともに無事だった。
 +
 +「故(ゆえ)に福の禍と為り、禍の福と為る、化極むべからず、深測るべからざるなり。」
 +→こうしたことから福が禍となり、禍が福となる、その禍福の変化を見極めることはできず、道理の奥深さを測ることはできないのである。